【第2回勉強会】時間・沈黙・主観のコントロールで、あなたのインタビューに進化(深化)を!

◆講 師 : 久保田智子さん(元TBSアナウンサー/記者)
◆聴き手 : 下村健一 主宰
◆討論スターター : 岩本乃蒼さん(日本テレビ「ニュースzero」キャスター)

被取材者が堅物?非協力的?ならば、取材者たる自分が変わろう。「オーラルヒストリー・インタビュー」という《全く違う聞き方》を学び、参加者全員で実践体験するワークショップにも挑戦!

講師は、出身地広島での「被曝体験の口承」に大きな限界を感じている久保田智子・当研究所主任研究員。自身が米国コロンビア大学院〜東京大学大学院(在学中)で理論研究し、広島や長崎、沖縄で実践検証中のメソッドを、初公開した。

あなたはインタビューをする時、つい「期待する返事」を待ってしまっていることは、ないだろうか?そこで想定外の返事が来たときに、「狭い先入観を壊してもらえて、本人に聞いた甲斐があった」と喜ぶべきなのに、「これでは筋書きと違う」とつい戸惑いを感じたりすることは、ないだろうか?あるいはもっと踏み込んで、想定した枠内の言葉が出てくるまで、手を変え品を変え、誘導的な質問を重ねてしまったブラックな経験は?

それは明らかに、受験時代に《空欄穴埋め式》テストをこなしすぎた弊害だ。取材は、《自由記述式》でなければならない。取材する前から想定した筋書き通りのニュースなんて、視聴者だって見る前からストーリーが想定できてしまうということだから、報道する意味がゼロ。

そんな“型ハメ病”につい犯されそうになったとき、その呪縛から脱する一つの処方箋になるかもしれないのが、このオーラルヒストリー・インタビューだ。
今回は、「まずは知ろう、体感しよう」という第一段階。聴講者たちは、《日々の取材に立ちはだかる現実の制約の中で、これをどう導入していくか》という宿題を胸に、それぞれの現場に帰って行った。

※詳しくは、上の画面から終了直後の動画リポートを参照。

(下村・記)

聴講者の感想

――「沈黙を恐れてはいけない」ということが、非常に大きな学びになりました。私は普段、次々に質問を頭に浮かべて発していくことが正しい、むしろそれが礼儀だ、と思いがちでした。しかし、こちらが沈黙を保ち相手に話の進み方を委ねることによって生まれてくることがあることを再確認できて、自分の前提を改める意識がつきました。
ワークショップがあったため、学びをさらに深くすることができたのが良かったです。受講者さんもみなさんやる気のある方々ばかりなので、安心してワークに取り組めました。
オーラルヒストリーをどのように外に発信していく必要があるかは、もう少しゆっくり時間を使って議論できると嬉しかったです。そこまで考えられると、より新しい時代の令和の取り組みになっていくかと思いました。(スピーチライター)

――素晴らしいセミナーをありがとうございました。正に働き方改革で、「休む事も仕事」とされる中で、番組や自分のクオリティーを上げていけないのではないかと自分自身不安に思っていたので、このようなセミナーを開いていただき有り難いと思っております。
生放送を毎日担当している身としては、まさに「“間”恐怖症」であり、10分間の実践の時間では、あれだけ黙るように言われていても、やはり質問を何度も投げかけてしまい、《待てない自分》に気づかされました。
そうした中で、今後取材相手に向き合う際のキーワードを、たくさん頂きました。
「事実と異なることも重要」なぜ違いが生まれたかを研究することで、より事象を「ふくよかに」見ることが出来る。
「わかったつもりにならない。自分でジャッジしない。真に受ける」
「質問も沈黙も、相手の間口を広げる」
「固定化されていないことを聞く」
まさに、日々の取材やインタビューで必要な姿勢だと感じ、取り入れさせて頂きます。今後アメリカなどでどのような研究がなされていくのか、非常に興味があります。(キー局 夕方報道番組キャスター)

――インタビューでは、同じような悩みを皆さんが抱えていると知れました。自分としては、地方支局の時のほうが、見積もった予定時間以上に話に耳を傾けたり、すぐに使わないと思っても聞くだけで面白かったりした取材はしていたなと思っています。
そうした手法は、すぐ形になるわけではなかったので、メディアとしていいのかな…と思ってもいましたが、今回のセミナーを聞いて、そういうあり方は間違っていないんだと確認できてとても安心しました。(新聞記者・東京本社勤務)