JCJジャーナリスト講座② いきなり役立つ就活対策「自己PR動画」

テレビ業界を目指す大学生たちを対象に、日本ジャーナリスト会議が主催し、令和メディア研究所(以下、令メ研)がコンテンツを提供する連携企画。第1回の「テレビ記者疑似体験」講座(レポート参照)に続く今回は、受講生がスマホで制作してきたエントリー動画を、下村健一が生添削する実践的内容だった。

事前に提出された有志4名の学生のエントリー動画を全員で視聴し、その上で、《伝えたい》メッセージと《伝わった》メッセージのギャップを確認していく。

基本的にワンショットで30~45秒の一発撮り、編集無し、という条件。スクリーンに映された学生たちの処女作からは、一生懸命さとギコチナさが目いっぱい伝わってくる・・・。

「映像」は、画面に映っているものすべて、背景、衣装、小道具も情報だ!と下村。効果的な人物のサイズや、小道具の使い方などかなり本格的なアドバイスも飛び出した。

原稿(喋った内容)については、①見ている人を現場に連れていくような臨場感のある言葉選びをすること、②自分だから言えるエピソードを選ぶこと、③情報を厳選すること、などが指導された。

最後に、つい先日川崎で発生した、カリタス学園通学バス待ちの小学生を狙った殺傷事件の報道について下村がコメント。当事者への繊細な配慮を必要とする取材活動の心構えが共有された。

そこで下村が例に挙げたのは、TBS時代に自身が制作したあるレポート。大阪教育大学附属池田小学校に男が乱入し、刃物で次々と児童8名が殺害された「池田小事件」(2001年6月8日)の5年後に、亡くなった女児の妹におこなったインタビューだ。

自分がインタビュアーだったら、この幼い妹に何を質問するか、と学生たちに問うと、「お姉ちゃんが亡くなって5年たつけど、今はどんな気持ち?」など、具体的な質問案が出てくる。しかし、果たしてそういう質問で彼女から大切なメッセージは受け取れるだろうか? 妹さんの心に寄り添っているだろうか?と下村は問い返す。そこで実際に下村が行なった対話とはーーー。

方程式はないが、できるだけ自然な姿で、当事者の心を画面の向こうに伝えるために、できる工夫はいくらでもある。学生向けの講座だったが、現役の報道番組制作スタッフである筆者自身も、マスメディアが発信すべきはなんなのか、深く考えさせられた。

「伝わり合う時代を、共に創る」仲間が、今日の聴講生から一人でも多く誕生することを祈って。

                           文責:令メ研スタッフ 服部真子